「世界の文化を学ぶ会」 2023年第二回講演会

 

      
    12
5日(火) 午後1時半~午後3時 講演会 午後3時から午後4時 茶話会

                      アルパインにて 出席者 22

 107日パレスチナガザ地区からイスラエルへ突然 電撃攻撃があり、世界中を震撼させました。
ウクライナへのロシアによる侵略も続くなか、このパレスチナ紛争について
ジャーナリスト 元共同通信社編集局長 現星槎大学教授 中東問題専門家 佐々木伸さんの講演会を開催し、パワーポイントを使って大変分かりやすく解説して頂きました。

 

 

 「なぜガザ戦争は起こったか」



「パレスチナ、ガザをめぐる衝突の現況」

発端 107日 ガザからイスラエルを電撃攻撃

     ロケット弾、陸、海、空からの攻撃、イスラエル市民1200人以上犠牲、人質約240

報復 ガザを無差別攻撃 地上軍侵略 パレスチナ住民15000人死亡、(40%が子供)  

     国連職員100人以上犠牲 建物6割破壊、集団懲罰の怖さ

 

「休戦と戦闘開始」

 1124日~1130日 休戦 その後戦闘開始、イスラエルはガザ攻撃を続けている。
 
天井のない巨大な監獄 行き場のないガザ地区に220万人が閉じ込められて暮らしている。

 

 

        空, 屋外, トラック, 軍用車両 が含まれている画像

非常に高い精度で生成された説明

 

 

「パレスチナ紛争の歴史」

紀元前10世紀からユダヤ王国建国、その後 ローマ帝国が占領しユダヤ人国外追放

イスラム勢力が占領

1947年第二次大戦のユダヤ人排斥(ホロコースト)の反省を基にパレスチナ分離決議をし
パレスチナ自治区が出来たが、解決せずに4度の中東戦争が起こる。

 

    

 

 

「パレスチナ紛争の本質」

パレスチナの土地のユダヤ教民族とアラブ民族の土地の争奪戦 

3次中東戦争でイスラエルがパレスチナを占領 ガザ地区を実行支配、ヨルダン川西岸地区に
入植地を増やしていく。

 

 

屋外, 建物, 空, 自動車 が含まれている画像

非常に高い精度で生成された説明

ベツレヘムの分離壁 全長800キロ

 

 

背景にはユダヤ教とイスラム教の宗教対立

ヨルダン川西岸にあるエルサレムは三大宗教 ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地

 エルサレム 三大宗教聖地

 

「和平のチャンス オスロ合意」

ただ一度和平の兆しがみえた。

1993年 アメリカ仲介による イスラエル ラビン首相とパレスチナ アラファト議長による
歴史的な調印、握手があった。

 合意内容 ヨルダン川西岸とガザ地区にパレスチナ暫定自治政府を置く

パレスチナ独立国家を樹立し、イスラエルとの「二国家共存」を最終目標としたが、
交渉が途中で頓挫し,イスラエル打倒を主張するハマスが台頭。

 

ラビン首相 クリントン大統領 アラファト議長

 

 

イスラエルが戦争を止められない理由」

ネタニヤフの名誉挽回 ハマスの攻撃を事前に察知できずに大恥

ホロコースト以来の犠牲者の数の重み

国内の厳しい非難にネタニヤフはハマス根絶しか選択肢がない。


ユダヤ人のメンタリティー 

マサダ砦の戦い、 ローマ軍の迫害、ナチスのホロコーストなどの経験により、
「やられる前にやれ」の思想。

パレスチナはユダヤ人に与えられた土地と主張




「まだガザ戦争は続いているが中間総括」

これまでの勝者は 

ハマス 放置されたパレスチナ紛争に世界の目を引き付けるという賭けに勝つ

イラン サウジとイスラエルの国交をつぶすと言う初期の目標達成

自らの手を汚さずに、配下組織にパレスチナ支援行動をとらせる

これまでの敗者は

イスラエル ハマスに騙されて奇襲攻撃を察知できずに1200人の犠牲者を出す

アメリカ  バイデン大統領 若者の支持が減り、大統領選に黄信号

 

 

「ガザ戦争の終わり方」

戦争はいつ終わるのか、一月一杯は続くのでは。

焦点はハマスの壊滅の判断

指導者 シンワル代表、デイフ司令官の抹殺か拘束があれば停戦はあるかもしれない

戦後のガザ占領めぐり、イスラエルはアメリカと駆け引きが続く。

アメリカはパレスチナ人の強制移住反対、アラブ平和維持軍の駐留やパレスチナ自治政府樹立を主張

戦争が終わるカギはアメリカと国際社会の圧力

ロシアによるウクライナ侵略やパレスチナ戦争に見られる国連の無力化も一つの原因。

 

 

「講演後に多くの質問があり、佐々木さんに丁寧に答えて頂いた」

質問 イスラエルの圧倒的な軍事力が分かっているのに、なぜハマスは攻撃を仕掛けたのか

あるいはネタニヤフはハマスが戦争を仕掛けている事を分かっていて、わざと容認した? 

  ハマスは2年余りの準備を重ねてこの電撃攻撃を行い、国際社会にパレスチナ問題に再び目をむかせ、イスラエルがいかに非道、残虐なことをパレスチナ人に行っているか理解させるために多くの犠牲を承知の上でいちかばちかで始めた。

ネタニヤフが仕掛けたというよりもまさか攻撃を仕掛けることはないと油断していた

質問 世界一の情報網を持っているイスラエルがこのガザの動きをなぜ察知出来なかったのか?

  スパイも入れて情報も分析していたと思うが油断していたというしかない

質問 トランプが来年の大統領選に出馬し、勝利したらますますイスラエルよりの政策になるのか?

 イスラエルの首都をエルサレムにして大使館をエルサレムに移したのはトランプが大統領だった時なので、そうなるかもしれないが、来年の大統領選についてはまだまだ未知数なので、今後を見守っていきたい。

質問 ジャーナリストは情報をどのような形で得るのか?

答  世界の新聞、例えば、NYタイムズ、ワシントンポストや現地エルサレムポストなどを読んでいるが、結局一番は自分の経験に基づいて情報を選んで行く

その他 なぜユダヤ人は嫌われるのかとの問いやユダヤ人はアメリカの政治、金融、芸術界に多くの優秀な人を生み出し、影響を与えているので、嫌われているのではないか、アメリカは第二次世界大戦の時にホロコーストを止められなかった負い目があるので、イスラエル寄りでは、など話しは尽きなかった。

 

 

 佐々木さんの講演後ニュースでイスラエル、パレスチナ戦争が出てくると、今まではっきり分からなかった問題の根本が良く分かるようになり、戦争も身近に感じられ、深く考えるようになった。
 今後もニュースを注視していきたい。大変中身の濃い、有意義な講演でした。

 

             

茶話会         

講演の後、会長が用意して下さったワイン、ビール、ソフトドリンクやお菓子を頂きながら、講演の続きのお話が盛り上がり、午後4時に解散した。