異文化勉強会
異文化勉強会
2015.9.2
アルパインにて
9月2日例会の後、異文化ならぬ医文化の勉強会を行ないました。
「放射線が活躍する医療」と題して会員で東工大の名誉教授の小川雅生さんから伺ったお話の
概要は次のとおりです。
[お話の内容]
図1 X線の発見 |
(3)診断で活躍する放射線
(i) X線CT
ベッドに寝た患者は、ベッドごと回転する環の中を水平に移動する。環の中のX線管球からX線が照射され、環の反対側にあるX線検出器でX線画像得る。こうして得られた画像を、コンピュータで処理し、3次元の画像にする。
図2 X線CTの仕組み
ベッドに横たえた患者を磁石で作った磁場の中に入れる。患者の体の水分子の水素原子核を共鳴させ、発生した電波を受信し画像にする。例えば、脳梗塞は、正常組織と状態が異なるため、電波が欠落する。それを検知し脳梗塞を判別する。
放射性同位元素から放射されたポジトロン(正電荷をもつ電子)が電子と衝突すると、ガンマ線が放射される。
図3 PETの原理 |
図6 PETの画像 緑色部が腫瘍 |
(4))放射線治療
(i) X線ビーム
小型の電子線加速器で加速した電子を金属に衝突させX線ビームを作る。このX線ビームを患部に集中させ、正常組織を極力損傷しないようにガン細胞を死滅させる。
(ii) 重荷電粒子ビーム
陽子あるいは炭素の荷電粒子を、大型加速器を用いて加速し、そのビームをガン組織に照射する治療法。重荷電粒子ビームは体内の目的とする深さに線量を集中させることができる。建設費が非常に高価で運転コストも高い。
(iii) 小線源治療
放射性のヨウ素125(半減期59日)を入れたチタン製カプセル(長さ4.5mm、太さ0.8mm)をガン組織の近くに挿入し、低エネルギーの電子を患部に照射することによってガンを治療する。
(5)まとめ
l 高齢者にとって放射線を用いた診断・治療は放射線被ばく以上の利益がある
l CT装置の高速化に伴ってX線ビームが強くなり、被ばく線量率が増加している
l MRI装置は高磁場化が進み、高周波電磁波の問題が気になりだした
l PETはガン(腫瘍)の有無、位置を教えてくれる
l X線ビームは中規模以上の病院に普及し、通院治療が行われている
l 重荷電粒子ビームは装置が非常に高価であり、先進医療に指定されている
l 小線源治療は前立腺や口腔など体表面に近い組織に有効である
以上
久しぶりの難しいお話に皆さん頭をフル回転させました。